いちじくには下記の4種類の系統があり、それぞれ特徴があります。
日本で最も一般的な無花果。人工的に受粉すれば種もできる。夏秋兼用種と秋果専用種がある。
夏果と秋果ができる。 日本では夏果だけ実る。
種子に油脂を含み、乾果にすると特有の香味があり最も品質が優れている。
春果(3~4月)、夏果(6~7月)、秋果(10~11月)がとれる。南西アジアの野生種。
収穫する時期によって、実のなり方が違うのがいちじくの面白いところ。
上記にもありますように、日本で栽培できるのは「サンペドロ系」「普通系」の2系統のみです。
「サンペドロ系」は夏果専用種になり、「普通系」は夏秋兼用種と秋果専用種があります。
収穫する時期によって実のなり方はちがいます。夏果専用と秋果専用では剪定も異なるので注意が必要です。
日本では夏果の成熟期が梅雨期にあたり生産が不安定になりやすいという面があります。果実収穫量も秋果に比べて極端に少ないことなどから、栽培の主体は秋果専用種です。
頂芽に近い節に着生した果実は、まだ芽の状態にあるため、寒さに対する抵抗性をもち、そのまま越冬して6〜7月に成熟します。
秋果と違い、じっくり時間をかけて肥大する夏果は絶品です。
夏秋兼用果は夏果が2年枝の枝先に、秋果がその年に伸びた新しい枝に花芽をつけます。
秋果の品種は、その年に伸びた新しい枝(1年枝)についた花芽が秋に果実をつけます。
いちじくの性質を理解することが、栽培を成功させる近道です。
品質や風土によって多少の違いありますが、樹の寿命は一般的にいって他の果樹よりも著しく短いです。
例えば日本の主要栽培品種「ドーフィン」は栽植後2-3年で結果樹齢に。盛果期は7-15年、その後は樹勢が急速に衰え枯死します。
葉が大きく、葉面蒸散量が多いのでたくさんの水分を必要とします。根が横に浅く広がる性質なので、果実がついている間は特に乾燥害に弱いです。品種によって多少違いますが、耐水性も弱いほうで土壌水分が多すぎると根が湿害を受けます。
水分管理はイチジクを栽培する上で重要なポイントです!
亜熱帯原産なので寒害にも弱いです。比較的寒さに強いといわれる在来種も、営利栽培ができるのは秋田県以南で北へ行くにつれ温度不足のため果実は成熟しません。(防寒対策、鉢栽培であれば寒冷地でも栽培可)
肥料の中でも石灰が大好きで中性ないし弱アルカリ性(pH7.2-7.5)の土壌で最もすぐれた生育を示し、良品な果実を生産しやすいです。
イチジクを栽培した跡地にふたたびイチジクを植えると、いや地の障害(連作障害)が強く現れ生育がかなり抑制され収量が低下します。
イチジクは亜熱帯性の果樹なので栽培は冬の低温によって制限されてしまいます。
耐寒性は若木時代には特に弱く、成木では最低マイナス9度が限界とされています。これ以下の低温にあうと寒害をこうむる恐れが強いため注意が必要です。
品種によって耐寒性は異なります。詳しくは各商品ページにてご確認ください。
栽培の適地は年平均気温15度前後、1月の平均気温3度以上の温暖地です。
特に越冬して夏果を生産する夏果専用種は、冬の-8度前後の低温、または3-4月ごろの晩霜によって障害を受け落果を引き起こすことが多いので寒冷地での栽培は困難です。また気温が38度以上になると果実の品質に悪影響を及ぼすので、高温地帯でも注意が必要です。
イチジクは葉温が30度以上になると光合成が急激に低下します。風通しの悪いところでは夏季剪定などを行い風通しをよくしましょう。
いちじくの樹と根の動きは1年を通してほぼ決まった活動をしています
前年秋から蓄積した貯蔵養分を使って
早春〜5月下旬
発根
発芽
新梢の伸長
夏果の初期成長
5月下旬以降〜
新しく出た葉の光合成で生産された養分で
①根、枝を伸ばす
②果実の成熟
9月中旬以降〜
秋根発生
翌年の初期成長のための養分を多量に貯蔵
やがて落葉して休眠
…ZZZ
3月下旬頃〜
地温が9~10度程度になったら活動スタート
3〜4月〜
緩慢
5月中旬〜
急激に盛んに
6月中旬
ピーク!
7〜8月上旬
新根の成長は次第に減少し、高温期に一時的に活動STOP
秋
再びわずかながら秋根が成長
12月上旬
地温が10度以下になると活動停止